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【記事】がんとともに働く社会~中川恵一先生が語る、健康と仕事のこれから~

 

城北ヤクルト販売では、「ヘルスケアカンパニー」たることを会社理念として掲げ、「地域社会のがん死亡率を大きく下げる事に貢献」することをミッションとしています。

・2019年11月に、厚生労働省委託国家プロジェクト「がん対策推進企業アクション」に参加。
・2021年9月に足立区と「がん対策に関する連携協定」を、2022年8月には荒川区と「包括連携協定」を締結。

 

ソーシャルベネフィットに寄与することを目指し、社員・ヤクルトレディ自身はもちろん、お客様を始めとする城北エリアの皆さまに、がんについての正しい知識やがん検診受診を進めることで、がんという病気と仕事を両立しながら生きていくことの大切さをお伝えしております。

 

今回は、がん対策推進企業アクションのアドバイザリーボード議長であり、がん治療・がん教育の第一線で活躍されている中川恵一先生(東京大学医学部附属病院放射線科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授)に、そのことの意義や価値について、お話をいただきました。

 

 

■中小企業ががんへの理解と備えを持つことの重要性
社員数60名ほどの中小企業ががんに関心を持ち、社員の皆さんが当たり前のようにがんの早期発見やがんと診断された際の治療と仕事の両立を考える。こうした取り組みをされていることは非常に意義があります。
社長が自ら取り入れて、進めていっていることも他ではなかなか見られません。
これまでの活動の中で、がんで亡くなられた方がいらっしゃらないというのは素晴らしい成果ですね。

 

■生活習慣とがん検診
たとえ生活習慣を整え、がん検診を受けても、がんは誰にでも起こり得ます。
それでも、検診は「命を守るシートベルト」のようなもの。事故(がん)を完全に防ぐことはできませんが、早期発見という“二段構えの備え”で重症化を防げます。
交通事故で死にたくなければ、安全運転を心がける。生活習慣を整えることは、いわば安全運転です。
そして、もしがんになったとしても、検診による早期発見が命を守ります。シートベルトが命を救うのと同じように、検診は二段構えの備えなのです。
ただ、がんの発生原因の約半分は偶然による遺伝子の損傷。ですから、どれだけ気をつけても運の要素もあるのです。
だからこそ、定期がん検診というシートベルトがより大切になります。

 

■高齢化社会と「働く健康」

日本では65歳以上の就労者が全体の14%を占め、他国と比べても圧倒的に高く、「健康で長生きし、長く働くこと」「高齢になっても働ける環境を整えること」が、今後の日本社会にとって、とても大切になります。
また、仕事をすること自体が健康維持につながりますので、ヤクルトレディの「定年がない働き方」もその好例です。

 

■ヘルスリテラシー(健康知識)の課題

日本では保健教育を受けてこなかったため、ヘルスリテラシーが非常に低い。
たとえば、医師の説明を理解できますか?という質問に対し、日本は国際比較で最下位クラスですが、それは当然です。保健の授業を受けてこなかったのですから。
しかし、がんは生活習慣の改善や検診によって最も制御可能な病気です。シンプルな心掛けと、お酒を控える、腸内環境を整える。こうした行動でリスクは半分になります。さらに早期発見できれば、9割が完治します。つまり、ヘルスリテラシーが最も活きる分野ががんなのです。
患者が知識を持つこと、がん治療の選択肢を知ることも大切です。
たとえば前立腺がんでは、放射線治療が短期間・低負担で効果的だが、日本では手術が優先されることが多いのです。

 

■城北ヤクルトの取り組みについて
社会の仕組みが変わり、今後は100歳まで生きる時代になります。
高齢者が働き続けるには、まず健康な身体を維持することが不可欠です。
アンチエイジングの基本であるお酒を控える、腸内環境を整えることは、がん予防にも通じます。
最近の研究では、腸内環境によってがん治療の効果が変わることもわかってきました。
ヤクルトレディの皆さんが腸内環境の改善やがん検診の大切さを学び、それを地域の方々に伝えることは、まさに社会貢献。
また、小中学生に対し学校に出向き、がん授業を行っていることや、一般市民に対し「大人のがん授業」を行っていることは、社会の広い層のがんに対するへルスリテラシーを上げることにつながっている。
そしてそれが結果的に商品販売につながったとしても、それは社会にとってよいことであり、健康とビジネスの両立という理想的な形です。

昨今、様々なCSR活動が行われていますが、純粋なCSR活動だけでは仕事としては成り立ちづらい。
城北ヤクルト販売の取り組みは、本業であるヤクルト飲料の販売とCSR活動であるがん知識の普及活動が密接につながり、ともに地域社会の健康の実現に貢献できているのではないかと考えます。
既に実施されているおとなのがん教育はこれからの社会の鍵を握る取り組みであり、皆さんがその先導役になってほしいと思います。

 

 

 

Profile –中川 恵一 先生

東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座  特任教授。
昭和60年、東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部放射線医学教室入局。
スイス Paul Sherrer Institute へ客員研究員として留学後、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師、准教授・放射線治療部門長を歴任。令和3年度より、現職。

この間、平成15年から26年まで、東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。患者/一般向けの啓蒙活動にも力を入れており、福島第一原発後は、飯舘村など福島支援も積極的に行っている。

日経新聞で「がん社会を診る」を毎週連載中。がんの練習帳、がんのひみつ、最強最高のがん知識、コロナとがん、など、著作も多数。